年明け以降、日本株市場における株価の価格変動が大きい相場が続いています。過熱感なく上場し続けてきた適温相場が崩れてきているような印象さえ受けます。相場の潮目を読み、特に株価急落時に対応するために、日経平均やダウ、為替に加えて、注意すべき数字である経済指標についてまとめておきます。
株価急落時に対応するために注意すべき数字
急落は反落か崩落か?
様々な指標から読み解きたいことは、下落が崩落なのかどうかという点です。指標からすべてを読み解けるわけではないのですが、景気減速を示し始めているようだと一時的な反落ではなく、市場のピークが過ぎて崩落が始まっている可能性が考えられます。このリスクを最小限にする為に、さまざまな指標に注目しておく必要があります。
注目すべきはやはりアメリカ経済の指標
日本株の約30-40%をアメリカの投資家が保有していると言われており、日本の株式市場はアメリカの経済に大きく左右される環境にあります。実際、今年の2月6日に起こった暴落はアメリカの雇用統計における平均賃金の上昇率が発端となり、長期金利の上昇を想起させたことが原因のひとつだと考えられます。アメリカの経済状態が日本の株式市場に与える影響は非常に大きい為、アメリカの経済指標には留意しておかなければなりません。代表的なものとして以下のものが挙げられます。
雇用統計(失業率と平均賃金上昇率)
雇用統計(速報値)は毎月第1金曜日のNY時間午前8時30分に発表されます。
※日本時間21時30分(米・夏時間)、22時30分(米・冬時間)
雇用統計では失業率と賃金上昇率に注目です。失業率は景気に少し遅れて反応すると言われていますので、失業率の上昇が続くようだと景気が減速し始めているサインと考えられます。そして、賃金上昇は消費の伸びやインフレに結び付くことから、利上げの可能性が高まることが予想されます。
景気減速と利上げはともに大きく株価に影響を与えますので、この2つの指標が発表される時期は注意が必要です。
金利(アメリカ債権10年利回り)
長期金利が上昇すると資金調達にかかるコストが高くなる為、個人の消費や企業の設備投資が抑制され、景気の潮目が変わる可能性があります。またリスク回避の意識が強くなり、株価が下落しやすい環境になります。長期金利が上昇し、株価(特にS&P500)が下落しているようだと要注意です。
金価格(ドルベース)
リスク回避先である金は、通常株式と相反する値動きをとりますが、直近で双方ともに上昇しています。これは株式保有のリスクを取る一方で、市場への警戒感が高まっている状況といえます。金価格の上昇が続くようだと過度なリスクオンは避けるほうが賢明です。
あとひとつ、アメリカの経済指標ではありませんが、日経平均のPERも参考になります。一般的にPER13で割安、PER17で高値圏という点を目安にしておけば、市場の過熱感を判断する上で役立ちます。
指標から必ずしも正解にたどり着ける訳ではありませんが、今後の市場の方向性を推し量る目安にはなります。適温相場という言葉に楽観を覚えリスク管理がおろそかになってしまわないように、これらの指数に注意しながら、今年は「身動きがとりやすいポジションに保有株式を減らす」あるいは「保有期間を短くする」などリスクヘッジを心掛けたいと思います。