株価は企業の業績以外にも、様々な要因に影響を受けて変動します。株式全体の相場のトレンドを把握するには、移動平均線によるトレンド判断や景気指標による景気の方向性判断などがあげられます。今回は後者、特に国内の景気指標について整理したいと思います。
景気動向を判断する指標について
経済指標の中で重要度の高いもののひとつとしてGDPが挙げられます。
GDPとは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことで、四半期ごとに内閣府が速報値を発表します。中でも実質GDP成長率を見ることで、前年対比での成長性を確認することができ、景気がどのような方向性に向かっているのかを判断する上で重要な指標となっています。年率成長率1%が目安となります。
しかし、発表が四半期ごとであることや該当期間終了後から1次速報発表まで1か月以上かかることもあり、やや景気動向の先取りがしづらいという側面もあります。
景気をはかる先行指標
そこで発表頻度の高いものに注目することで、景気動向の先取りに役立てることが可能です。
ひとつ目は鉱工業生産指数。経済産業省が作成し、毎月月末に発表しています。製造業全体の生産活動を指数化したもので、景気に敏感に反応すると言われています。
経済産業省の鉱工業生産指数・過去の結果概要から確認可能ですが、直近は「生産は持ち直しの動き」との動向が続いている状況です。
ふたつ目は景気ウォッチャー調査。こちらは内閣府が毎月10日前後に発表しています。この指数の特徴は小売業やタクシーの運転手、求人情報誌の編集者など景気の変化に影響を受けやすい職業の方を対象に調査している点であり、先行判断DIが株価と相関性が強いと言われています。
50が景気動向判断の基準となりますが、2017年6月以降は50を上回る指数で推移している状況です。過去の指数含めて、内閣府のウェブサイトで確認可能です。
また日銀短観も相場のトレンドを把握する上で有効です。4半期に一度なので発表の頻度はあまり高くありませんが、3か月先の見通しなどが発表されるので、参考になると言えます。
株価の動きは相場のトレンドも参考に
株価の動きは企業業績、PER、チャートが判断の目安になることはもちろん、外部要因も大いに影響することを考えると、株式投資を長く続ける上ではこれらの景気動向の先行指標を確認することは効果的だと思います。発表頻度も月に1度ですのでぜひ確認してはいかがでしょうか。